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青色申告のための複式簿記とは?やさしく理解する帳簿の書き方

青色申告をしたいけれど「複式簿記」がわからない…

「青色申告にすると65万円控除が受けられるって聞いたけど、複式簿記って難しそう…」
そんな悩みを抱えている個人事業主の方は多いのではないでしょうか。

青色申告には「正規の簿記の原則による記帳」が要件になっており、つまり複式簿記が必要です。ですが、実は複式簿記は基本のルールさえ理解すれば、会計ソフトの力も借りながら誰でも実践できます。

本記事では、会計初心者の方でも安心して読めるように、複式簿記の基本と書き方、青色申告との関係をわかりやすく解説していきます。


なぜ「複式簿記」が壁になるのか?

「簿記=難しい」というイメージの原因は、主に以下の3点です。

悩み 内容
専門用語が多い 「仕訳」「勘定科目」「貸借」など、聞きなれない言葉が多い
書き方が複雑に見える 借方・貸方の仕訳ルールが難解
間違えると損をしそう 税務署に怒られそうで不安になる

特に、青色申告で65万円控除を受けたいと思っても、「複式簿記で帳簿をつける」ことが条件と聞くと、「自分には無理そう」と感じる方が多いのです。


結論:複式簿記は「お金の出入りを正しく見るメガネ」

複式簿記とは、「お金の動きを2方向から記録する」仕組みです。

単式簿記 複式簿記
お金の出入りだけ記録 お金の移動元と移動先を両方記録
家計簿のようなイメージ ビジネスの「お金の地図」

たとえば、現金でコピー用紙を買った場合…

  • 単式簿記 → 現金が減った

  • 複式簿記 → 消耗品費が増え、現金が減った

つまり、「何に使ったか」「どこから出たか」を一目で把握できるのが複式簿記です。慣れれば非常に合理的で、経営の意思決定にも役立ちます。


青色申告の節税メリットは「複式簿記」あってこそ

青色申告には、以下のような大きな特典があります。

青色申告のメリット 内容
青色申告特別控除 最大65万円控除(電子申告+複式簿記)
赤字の繰越 最大3年間の赤字繰越が可能
家族給与の経費化 青色専従者給与として全額経費にできる

このうち、**65万円控除を得るための条件が「複式簿記による帳簿付け」**です。
つまり、複式簿記を習得すれば、これらの節税メリットがすべて使えるようになります。


複式簿記の基本ルールと書き方

複式簿記の基本構造「仕訳」とは?

複式簿記の記録単位は「仕訳」と呼ばれ、以下のように記載されます。

日付 摘要 借方 金額 貸方 金額
5/1 コピー用紙購入 消耗品費 2,000円 現金 2,000円

💡【ポイント】

  • 「借方(かりかた)」は「増やしたいもの」「使った目的」

  • 「貸方(かしかた)」は「減ったもの」「出どころ」


代表的な仕訳パターン一覧(初心者向け)

取引内容 借方 貸方
売上があった 現金/普通預金 売上高
経費を現金で支払った 経費科目(例:通信費) 現金
商品を仕入れた(掛取引) 仕入 買掛金
仕入代金を銀行振込で支払った 買掛金 普通預金

複式簿記に必要な帳簿の種類

複式簿記では、次のような帳簿を使って取引を記録・管理していきます。

① 仕訳帳(しわけちょう)

すべての取引を、発生順に記録していく帳簿です。複式簿記の「基礎」となる帳簿で、すべての仕訳はここにまず記録されます。

日付 内容 借方 金額 貸方 金額
5/1 コピー用紙購入 消耗品費 2,000円 現金 2,000円

② 総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)

仕訳帳で記録された内容を、勘定科目ごとにまとめた帳簿です。科目ごとの残高や取引推移を把握できます。

  • 「消耗品費」のページ → 全ての消耗品費取引

  • 「現金」のページ → 全ての現金の出入り

💡会計ソフトを使えば、自動で仕訳帳から元帳を生成してくれます。


③ 補助簿(必要に応じて)

以下は任意ですが、取引の実態によって使うと便利です。

補助簿名 用途
現金出納帳 現金の入出金を日別に管理
預金出納帳 銀行口座の取引を管理
売掛帳 売掛金の管理
買掛帳 買掛金の管理
固定資産台帳 備品など10万円以上の資産を管理

記帳の流れ【ステップバイステップ】

複式簿記による帳簿付けは、以下のステップで進みます。

ステップ1:証憑(領収書・請求書)を集める

  • レシートや請求書、クレジットカード明細などを日別に整理

  • デジタルでも可(スキャンやスマホ撮影OK)


ステップ2:仕訳を起こす

集めた証憑をもとに、「どの科目を使うか」を判断して仕訳を作成。

例:

  • 5月1日 コンビニで事務用品を購入 → 消耗品費/現金

  • 5月3日 銀行振込で家賃を支払い → 地代家賃/普通預金


ステップ3:会計ソフト・エクセルに入力

おすすめの初心者向け会計ソフト

ソフト名 特徴 操作のしやすさ 青色申告対応
freee会計 クラウド型・スマホ対応・自動仕訳機能
マネーフォワードクラウド 銀行連携・分析レポートが豊富
弥生の青色申告 デスクトップ型あり・帳票が豊富

💡複式簿記が難しければ、最初はfreeeなどの自動仕訳に頼るのもOK!


ステップ4:定期的に試算表をチェック

記帳が進むと、以下のような「試算表」が作成されます。

  • 損益計算書(売上・経費の一覧)

  • 貸借対照表(資産・負債の一覧)

📌 青色申告では、これらの財務諸表を元に決算書を作成し、申告書に添付します。


複式簿記はエクセルでもできる?それともソフト必須?

方法 メリット デメリット
エクセル 無料、カスタマイズ自由 ミスしやすい、集計に手間
会計ソフト 自動集計、科目選択が簡単 月額費用がかかる

👉 本業が忙しい方・簿記初心者は会計ソフト一択
👉 経理経験がある方や手間を惜しまない方はエクセルも選択肢

青色申告の帳簿保存義務とは?

青色申告を行うには、複式簿記による帳簿の記帳と、その帳簿を適切に保存することが求められます。

保存が義務付けられている帳簿・書類一覧

保存が必要なもの 保存期間 内容の一例
仕訳帳・総勘定元帳 7年 全ての取引記録
現金出納帳・売掛帳・買掛帳 7年 必要に応じて
請求書・領収書・契約書 7年(原則) 支出の証拠書類
決算関係書類(損益計算書・貸借対照表) 7年 青色申告特別控除に必要
現物資産の明細(固定資産台帳など) 7年 減価償却の基礎資料

📌 なお、「保存期間6年」とされることもありますが、帳簿に虚偽や脱漏があった場合は7年が原則です。


帳簿を正しく保存するための4つのコツ

① 書類はデジタル化しておくと安心

  • 紙の領収書や請求書はスキャン or スマホ撮影で保存

  • 会計ソフトにアップロードして「証憑添付」機能を活用

💡電子帳簿保存法にも対応したクラウドソフトがベストです。


② 保管ルールを決めておく

書類タイプ 保管場所の例
紙の領収書 月別のクリアファイル or スキャンしてクラウド保存
電子明細 フォルダ分け(例:年/月/取引先)で管理

③ 確定申告後も「7年間」保存を忘れずに

  • 税務調査は数年後にやってくることも

  • 過去の帳簿がないと、「申告内容が信用できない」と見なされる可能性あり


④ ソフトを使って「帳簿=証憑付き」で管理する

freeeやマネーフォワードは、仕訳ごとにレシートや請求書を添付可能。
→ デジタル帳簿と証憑が一体化 → 税務署への説明が簡単になる


税務署から信頼される帳簿の特徴とは?

税務署は、「申告が正しいかどうか」を判断するために帳簿を確認します。信頼される帳簿のポイントは以下のとおりです。

✅ 信頼される帳簿の条件チェックリスト

チェック項目 解説
記帳が日々、継続的に行われている 月末にまとめてではなく、日々の記録が望ましい
取引内容が明確で根拠書類がある 領収書・請求書・契約書が残っている
勘定科目の使い方が適切 交際費・通信費・外注費などに明確な根拠がある
私的支出との混在がない プライベートな支出を経費にしていない
決算書と帳簿の整合性が取れている 試算表・元帳・申告書の数字が一致している

税務署に疑われる帳簿の例(注意)

  • 勘定科目が毎回バラバラ(例:交際費にしたり雑費にしたり)

  • 売上の入金記録がない

  • レシートの保存がされていない or 消えている

  • 家事按分(例:自宅の家賃や電気代)が極端に偏っている

こうした帳簿は「任意調査」や「実地調査」の対象になりやすいため、注意が必要です。

青色申告の提出手続きと注意点

青色申告を行うには、いくつかの事前準備と提出物があります。

① 青色申告を始めるには「承認申請書」の提出が必須

書類名 提出期限 提出先
青色申告承認申請書 開業から2ヶ月以内 or その年の3月15日 税務署

この申請書を提出しないと、青色申告ができません。65万円控除を目指すなら、早めの提出が鉄則です。


② 青色申告の確定申告に必要な書類

青色申告を行うには、以下の書類を税務署に提出します。

書類名 内容
確定申告書B 所得税申告の基本書類(全事業者共通)
青色申告決算書 損益計算書+貸借対照表(複式簿記の成果)
添付資料 控除証明書、源泉徴収票など(必要に応じて)

💡【補足】
65万円控除を受けたい場合は「電子申告(e-Tax)」が必要です。


電子申告(e-Tax)で65万円控除をフルに活かす

2020年以降の税制改正により、65万円の青色申告特別控除を受けるには、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。

条件 控除額
複式簿記+電子申告(e-Tax) 65万円控除
複式簿記+紙提出 55万円控除
簡易帳簿 10万円控除

👉 最大控除を目指すなら、電子申告が必須!

電子申告のメリット

  • 控除額が10万円増える

  • 自宅から提出可能

  • 受付通知が即時に届く

  • 会計ソフトと連携して提出できる(freee・MFクラウドなど)


複式簿記は節税と経営の味方!

ここまで複式簿記と青色申告について、以下の流れで学んできました。

セクション 内容
導入 「複式簿記=難しそう」の壁を取り除く
問題提起 専門用語・ルールへの不安を整理
結論 複式簿記はお金の流れを正確に把握するためのツール
理由 青色申告65万円控除の条件は「複式簿記」だから
具体例 帳簿の種類・仕訳・記帳ステップ・保存義務
行動 e-Taxと帳簿整備を実践しよう!

✅ 今すぐ実行したい行動リスト(初心者向けチェック)

  • 青色申告承認申請書を税務署に提出した

  • 会計ソフト(freeeなど)を導入済み

  • 毎日の領収書整理の習慣がある

  • 仕訳のルールを理解した

  • 損益計算書・貸借対照表を自動で出力できる環境を整えた

  • e-Taxに登録し、電子申告の準備ができている

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