会計ソフト選びが事業の効率を左右する時代
個人事業主や中小企業にとって、経理の効率化は「利益を残す」ために欠かせない要素です。特に記帳・確定申告・請求書作成などの作業は、毎月のルーティンであり、手作業では時間と手間がかかります。
そこで登場するのが、クラウド会計ソフト。中でも「freee」と「マネーフォワードクラウド会計(以下、マネーフォワード)」は、日本国内で特に人気の高い2大サービスです。
本記事では、両者を徹底比較し、小規模事業者にとってどちらが最適なのかを、初心者でもわかるよう丁寧に解説します。
「どちらが良いか?」は一言では決まらない
会計ソフトを検討する多くの事業者が抱える悩みは以下の通りです。
悩み | 内容 |
---|---|
機能の違いがわかりづらい | どちらも「自動仕訳」や「確定申告対応」など同じような説明で混乱する |
価格の差が気になる | 月額・年額プラン、機能制限の違いなどが複雑 |
導入後の操作性が心配 | 簿記初心者でも使いこなせるのか不安 |
自分の業種・規模に合っているか不明 | フリーランス向き?法人向き?どちらが汎用性が高い? |
このように、「どっちがいいの?」と迷ったまま、導入を先延ばしにしてしまうケースが少なくありません。
目的と使い方で選ぶ!freeeは初心者、マネーフォワードはバランス派に最適
会計ソフトは「どちらが優れているか」ではなく、「自分に合っているか」で選ぶのが正解です。
利用者タイプ | おすすめソフト | 主な特徴 |
---|---|---|
初心者・非会計人向け | freee | 操作が簡単・スマホに強い |
慣れてきた事業者・複数業務連携したい人 | マネーフォワード | 機能が豊富・柔軟性が高い |
👉 経理に時間をかけたくないならfreee、
👉 会計の仕組みを活かして事業全体を最適化したいならマネーフォワード、
という選び方が理にかなっています。
freeeとマネーフォワードの基本機能を比較
比較表:freee vs マネーフォワード(主な機能)
比較項目 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
自動仕訳 | ◎(非常に簡単) | ◎(詳細なルール設定も可能) |
銀行・クレカ連携 | ◎ | ◎ |
請求書作成 | ◎(スマホでも可能) | ◎ |
青色申告対応 | ◎(最大65万円控除対応) | ◎ |
複式簿記機能 | △(自動化重視) | ◎(自由度が高い) |
スマホアプリ | ◎(直感的) | ○(操作性は若干劣る) |
レポート分析機能 | ○(シンプル) | ◎(多機能でカスタム可) |
他サービス連携 | ○(限定的) | ◎(拡張性が高い) |
🔍freeeは「会計知識ゼロでも始められる」が強み。
🔍マネーフォワードは「使いこなせば最も頼れる存在」と言えます。
料金プランの比較:月額コストとコスパをチェック
どちらのソフトも、個人事業主と法人でプラン体系が異なります。ここでは「個人事業主向け」プランで比較します。
個人事業主向け料金比較(2025年5月時点)
プラン名 | freee会計 | マネーフォワードクラウド |
---|---|---|
スターター | 月額1,298円(年額12,936円) | 月額1,078円(年額10,560円) |
スタンダード | 月額2,618円(年額26,136円) | 月額1,408円(年額13,200円) |
プレミアム | 月額なし(法人向け) | 月額3,278円(年額32,736円) |
無料お試し | あり(30日) | あり(30日) |
📌 注意点:
-
freeeの「スターター」は帳簿のカスタマイズ性が低く、青色申告特別控除65万円の対象にならない場合も。
-
マネーフォワードの「ベーシック」プラン(旧・パーソナル)は価格が安く、機能も網羅的。
実際に使ってみた感想(操作性・UIの比較)
freeeの特徴:とにかくわかりやすい・画面が優しい
-
スマホアプリが優秀で、領収書を撮るだけで自動仕訳候補が表示される
-
取引登録画面が「質問に答えるだけ」で進行(例:何を買った?どう支払った?)
-
初心者でも仕訳や勘定科目を意識せずに進められる
👉 freeeは「簿記を知らない人」に配慮した設計
マネーフォワードの特徴:少し専門的だが自由度が高い
-
画面はやや複雑だが、簿記の知識がある人にとっては使いやすい
-
勘定科目の設定や補助科目の管理も柔軟
-
銀行・カード連携後の自動仕訳ルール設定が詳細に可能
-
グラフ・分析系レポートが見やすく、事業分析に活用しやすい
👉 マネーフォワードは「経理に慣れた人」や「会計事務所との連携を意識している人」におすすめ
freeeとマネーフォワードを比較した実体験ベースのまとめ
比較項目 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
初期設定のしやすさ | ◎(質問形式) | ○(自分で設定) |
スマホ対応 | ◎(機能ほぼ網羅) | ○(入力はできるが画面が細かい) |
記帳スピード | ◎(直感操作) | ○(簿記形式が必要) |
帳簿の柔軟性 | △(自動化重視) | ◎(複式簿記ベースで自由) |
サポート | ◎(チャット中心、初心者対応) | ◎(ヘルプ充実、動画解説もあり) |
会計事務所との相性 | ○(freee会計に特化した事務所向け) | ◎(多くの会計事務所が対応) |
小規模事業者にとっての使いやすさとは?
個人事業主や一人社長にとって重要なのは、**「会計ソフトに時間を取られず、かつミスを減らせること」**です。
freeeは以下のような人におすすめ:
-
会計・簿記が苦手
-
毎月の記帳をスマホでサクッと済ませたい
-
とにかくわかりやすいUIを求めている
マネーフォワードは以下のような人に向いている:
-
経費科目の内訳や仕訳にこだわりたい
-
顧問税理士に帳簿を見せる予定がある
-
会計の勉強をしながら管理精度を上げていきたい
銀行口座・クレジットカードとの連携機能
クラウド会計ソフトの大きな魅力は、銀行口座やクレジットカードとの自動連携です。手入力を極限まで減らせるため、ミス防止と時短に大きく貢献します。
比較項目 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
金融機関の対応数 | 約4,000件 | 約2,700件 |
明細の取得頻度 | 高速(リアルタイムに近い) | 高速(1日〜数時間遅延あり) |
手動更新 | ワンクリックで可 | ワンクリックで可 |
自動仕訳候補の精度 | 学習機能あり◎ | ルール設定により◎ |
💡freeeは「機械学習型」、マネーフォワードは「ルールベース型」
⇒ freeeは最初こそ曖昧な仕訳も、使えば使うほど精度が上がる仕組み。マネーフォワードはルールを細かく指定するほど、カスタマイズ性が高まる。
請求書・見積書作成機能の違い
会計ソフトには、請求書・見積書・納品書の発行機能が搭載されており、経理業務と売上管理を一元化できます。
freeeの請求書機能
-
請求書の作成 → 自動で仕訳・売掛金登録
-
定期請求機能(定期的な売上に便利)
-
郵送代行・PDF出力・電子帳簿保存にも対応
マネーフォワードの請求書機能
-
スマート請求書(書類管理+自動仕訳)
-
ステータス管理(送信済・入金済・未入金)
-
売掛管理が非常に見やすい(一覧で確認可能)
📌 どちらもインボイス対応済。freeeの方がクラウド請求書として一歩進んだ設計だが、マネーフォワードの一覧性も非常に使いやすい。
レポート機能・経営分析のしやすさ
分析機能 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
損益レポート | ◎(視覚的にわかりやすい) | ◎(詳細な分析が可能) |
月別推移・比較 | ○ | ◎ |
キャッシュフロー表示 | △(外部ソフト必要) | ◎(標準装備) |
費用分類グラフ | ◎ | ◎ |
カスタムレポート | △ | ◎(タグ・部門管理が可能) |
👉 「ざっくり把握したい人」にはfreee、「詳細分析・部門別管理したい人」にはマネーフォワードが向いています。
導入・乗り換えのしやすさ
freeeの導入のしやすさ
-
アカウント登録→質問形式で初期設定完了
-
業種ごとに初期テンプレートあり
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開業freeeとの連携で開業届提出も一貫対応可能
👉 開業初期の人が導入しやすい設計
マネーフォワードの導入・乗り換え
-
他社ソフトからのインポート機能あり(CSV、弥生など)
-
freeeからの乗り換えサポートもあり
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法人登記・部門管理を意識した設計
👉 拡張性を重視する人、将来的に法人化を見据えている人にフィット
会計ソフトのサポート体制の違い
項目 | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
チャット対応 | ◎(24時間対応) | ○(平日中心) |
メール対応 | ◎ | ◎ |
電話サポート | スタンダード以上 | スタンダード以上 |
動画チュートリアル | 多数あり | 多数あり |
ユーザーコミュニティ | あり(freee会) | あり(公式フォーラム) |
💡初心者がつまずきやすい「最初の1ヶ月」をサポートする体制が両社ともに整っているが、freeeの方が「完全未経験向け」感が強い。
あなたに合う会計ソフトはどっち?最終判断ガイド
選び方の早見表(個人事業主・小規模事業者向け)
あなたのタイプ | freee向き | マネーフォワード向き |
---|---|---|
経理が苦手・簿記に自信がない | ◎ | △ |
スマホでスキマ時間に処理したい | ◎ | ○ |
仕訳は自動化して任せたい | ◎ | ○ |
売上や経費を細かく分析したい | △ | ◎ |
税理士に帳簿を見せる前提がある | ○ | ◎ |
法人化や部門管理を見据えている | ○ | ◎ |
会計ソフトにあまり時間をかけたくない | ◎ | ○ |
💡 freeeは「楽に使える」ことに特化し、
💡 マネーフォワードは「しっかり活用する」ことで真価を発揮するソフトです。
導入後に後悔しないための活用アドバイス
導入初期にやっておくべき設定
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事業専用の銀行口座・クレカと連携する
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毎月の定期支出は「自動仕訳ルール」に登録
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スマホアプリを必ずインストール
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青色申告特別控除65万円に対応できる設定(複式簿記&電子申告)
記帳の習慣化:週1記帳 or 毎日5分でOK
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freeeなら→スマホでレシート撮影→自動仕訳
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マネーフォワードなら→日付ごとに明細確認→ルールに沿って仕訳
👣どちらも「月末にまとめて」はNG。記帳はこまめに、が鉄則です。
freee・マネーフォワードの比較まとめ【一覧表】
比較ポイント | freee | マネーフォワード |
---|---|---|
操作のしやすさ | ◎(初心者向け) | ○(慣れれば◎) |
自動化の強さ | ◎(学習型) | ◎(ルール型) |
機能の豊富さ | ○(必要最低限) | ◎(カスタマイズ性◎) |
スマホ対応 | ◎ | ○ |
価格 | 若干高め | コスパ良好 |
導入のしやすさ | ◎ | ○ |
拡張性・将来性 | ○ | ◎ |
会計事務所との相性 | ○ | ◎ |
向いている人 | 初心者、開業直後 | 慣れた人、成長志向 |
✅ 今すぐやるべき行動リスト
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freeeとマネーフォワードの無料体験版を試す(30日間)
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自社の業種・業務フローに合うソフトを選ぶ
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青色申告特別控除65万円に対応する設定を確認する
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銀行口座・クレカ・請求書業務の自動連携を設定する
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毎週または毎日の記帳習慣を始める