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領収書の保存ルールとスキャン活用術【2025年版 電子帳簿保存法対応】

紙の領収書はもう古い?経費管理のデジタル化が進む今

「この領収書、いつまで保存すればいいの?」
「レシートをスキャンして保管しても大丈夫?」
経理・記帳の場面で、こうした疑問を感じたことはありませんか?

2022年の電子帳簿保存法改正を皮切りに、経費証憑の保存方法が大きく変わりました。特に2024年の宥恕措置終了後、「スキャナ保存」や「電子取引データの保存」が義務化された部分により、個人事業主や小規模企業にとっても無視できないテーマになっています。

2025年現在、紙とデジタルの保存ルールを理解し、正しく対応することが節税・経営効率の面でも重要です。本記事では、最新の法律対応と実務的なスキャン活用術を、わかりやすく整理してご紹介します。


間違った領収書保存で“ペナルティ”のリスクも?

税務調査では、経費の正当性を証明する書類=領収書やレシートの保存状況が厳しく確認されます。

もし保存方法を間違えると…

想定されるトラブル 内容
経費として認められない 領収書の不備や紛失により、否認リスクあり
青色申告の要件を満たさない 帳簿不備とされ、控除額減少の可能性
電子取引の保存義務違反 電子データをメールなどで受け取っても、紙に印刷して保存ではNG(電子帳簿保存法違反)

つまり、領収書の保存は単なる「整理整頓」ではなく、税務・法令上の重要な義務なのです。


2025年は「電子+紙のハイブリッド保存」が現実的な最適解

現在、すべてを電子化することは理想的ではありますが、実務上は「紙で受け取る領収書」や「電子メールで届く請求書」などが混在しています。

したがって、以下のようなアプローチが現実的です:

  • 紙の領収書は原則7年間保存(法人は10年も検討)

  • 電子取引データはPDFや画像でスキャン保存+検索要件を満たす

  • スキャナ保存制度を利用すれば、紙を廃棄しても合法的に保存OK

💡電子帳簿保存法を正しく理解し、自社に合った対応方法を選ぶことが重要です。


電子帳簿保存法と領収書保存の基本ルール【2025年版】

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、帳簿書類や取引情報を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。以下の3つの保存区分が定義されています。

区分 保存対象 主なポイント
電子帳簿等保存 会計帳簿・仕訳帳・総勘定元帳など 税務署への事前承認は不要(2022年以降)
スキャナ保存 紙の領収書や契約書などをスキャンして保存 タイムスタンプ・解像度・検索性の要件あり
電子取引データ保存 メール・クラウドで受け取る請求書・領収書 電子データのまま保存が義務。紙に印刷して保管はNG

📌 **2024年1月以降、電子取引は“電子保存が原則義務”**になっています。違反すると青色申告の優遇措置を受けられないリスクも。

領収書の保存期間と法的義務【個人事業主・法人別】

税務上、領収書やレシートなどの保存期間は、事業形態や取引の種類により異なります。

領収書の保存期間(2025年時点)

事業形態 保存対象 保存期間 法的根拠
個人事業主(青色申告) 領収書・請求書・契約書など 7年間 所得税法
法人 同上 原則7年(会社法で10年が望ましい) 法人税法・会社法
消費税申告対象者 課税仕入れの証憑 7年間 消費税法

💡消費税の課税事業者やインボイス制度対応の場合、証憑の保存が「仕入税額控除の要件」にもなります。


スキャナ保存のルール【電子帳簿保存法に基づく】

スキャナ保存とは、紙の領収書やレシートをスキャンして、電子データとして保存する方法です。ただし、保存には以下の3要件を満たす必要があります。

スキャナ保存の3大要件(2025年版)

要件 内容
① タイムスタンプ要件 受領から最長7営業日以内にタイムスタンプ付与(または訂正・削除履歴が残るシステム使用)
② 解像度・カラー条件 解像度200dpi以上、赤・青・緑の3色要素を保持
③ 検索性の確保 日付、取引先、金額などで検索できるようにしておく(ファイル名やシステムで実現可)

🖨️【例】
スマホでレシートを撮影し、freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトにアップロード → 自動でタイムスタンプ&OCR検索対応 → スキャナ保存OK


スキャナ保存が認められないケース

  • ピンボケ画像や文字がつぶれて読めない画像

  • 必須情報(取引先、日付、金額)が写っていない

  • 保存日や編集履歴が確認できない(要件未達)

🚫 スキャナ保存を正しく行わないと「原本の紙がない=証拠なし」と判断され、税務調査で経費を否認されるリスクがあります。


電子取引データとスキャナ保存の違い

項目 電子取引データ保存 スキャナ保存
保存対象 メールやPDFで受け取った請求書・領収書 紙でもらった領収書・契約書など
原本媒体 デジタル
保存方法 電子データのまま保存(印刷不可) スキャン画像に要件を満たせば紙廃棄可
検索性要件 必須 必須
タイムスタンプ 不要(訂正・削除履歴等で代替可) 原則必要(orクラウドで自動管理)

👉 電子データは電子で、紙の領収書はスキャン+要件クリアで保存するのが原則です。


スキャン保存に使えるおすすめツール・クラウド

ツール名 特徴 対応要件
freee会計 スマホ撮影→自動仕訳&タイムスタンプ付与 ◎ スキャナ保存・電子帳簿保存法対応済
マネーフォワードクラウド 領収書管理と帳簿連携がスムーズ ◎ 要件対応済・検索性良好
Adobe Scan+Dropbox スマホスキャン→PDF保存→クラウド管理 △ タイムスタンプは別対応が必要
Evernote・Google Driveなど 書類管理としては使えるが要件確認が必要 △ 専用機能なし(税務対策には不安)

💡原則として「電子帳簿保存法に正式対応した会計ソフトやストレージサービス」を選ぶのが安心です。

スキャン保存の実践フロー【現場で使える手順】

領収書のスキャナ保存を日常業務に落とし込むには、「ルール化」と「習慣化」がカギです。ここでは、一般的な小規模事業者向けに実用的な手順を紹介します。

スキャナ保存フロー(例:freeeを利用する場合)

ステップ 内容 補足
① 領収書を受け取る 紙またはPDFなど 紙の場合は撮影・PDF化
② スマホで撮影 freeeアプリを使う 日付・金額・取引先が映っているか確認
③ アップロード アプリ経由で会計ソフトに保存 自動でタイムスタンプ付与されることが多い
④ 自動仕訳 or 手動で科目入力 勘定科目を確認・修正 AIによる推定仕訳を確認・調整
⑤ 書類の原本を保管 or 廃棄 要件を満たしていれば廃棄可能 不安な場合は数カ月残してもよい

📌スキャンデータには「ファイル名ルール」をつけると管理しやすい
例:2025-04-01_ABC商事_交際費_5,000円.pdf


スキャン保存と仕訳のひもづけが重要な理由

スキャナ保存をしても、それだけでは不十分です。帳簿(仕訳帳)とスキャンデータが連動しているかどうかが、税務調査での信頼性に直結します。

理想的な仕訳連動の状態

内容
領収書画像が仕訳に添付されている freee/MFで確認可能
仕訳日付と領収書の日付が一致 入力ミスを防止
金額・勘定科目も整合性がある 経費の正当性が説明できる

💡会計ソフト側で領収書をドラッグ&ドロップで仕訳に紐づけできる機能を活用すれば、ミスのない記帳と証憑管理が両立できます。


税務調査に備えたスキャナ保存の「3つの視点」

① 見やすさ・整理されているか?

  • 月別/科目別にフォルダ分け

  • 検索キーワード(取引先・金額・日付)で抽出できる状態にする

② 税務署に説明できるか?

  • 領収書画像と仕訳のリンクをすぐに提示できる

  • 保存要件(タイムスタンプ、改ざん防止、検索性)を説明できる

③ 紛失・改ざんリスクは低いか?

  • クラウド保存+バックアップを取っているか

  • PDFやJPEGに電子署名を付与しているか(または対応ソフト使用)


スキャン活用に向いている領収書とそうでないもの

スキャン向きの書類 スキャンに注意が必要な書類
飲食・交通費のレシート 複数ページの契約書(法的効力を要するもの)
単票の領収書 感熱紙で印字が消えやすいレシート
クレジットカード明細 電子署名が必要な取引書類

💡契約書など長期保存が必要な文書は、紙とデジタルの両方で保管が安心です。

業種別:スキャナ保存の具体的な活用実例

フリーランス(例:ライター・デザイナー)

保存対象 実例 保存方法
打ち合わせ時のカフェ代 スタバ領収書(500円) スマホで撮影→freeeへアップ
ソフト購入時の領収書 Adobe利用明細 メール添付のPDFをクラウド保存+会計ソフトに添付
通信費 docomo請求書 マイページからPDF保存→検索対応フォルダへ分類

ポイント:領収書の金額は小さくても、積み重ねが重要。ミスなく管理を。


小規模建設業・職人(現金商売中心)

保存対象 実例 保存方法
材料購入 ホームセンターのレシート レジで受け取ったらすぐにスマホで撮影
工事請負契約書 2ページ以上の紙書類 原本は保管+スキャン画像もクラウド保存
車両燃料代 ガソリンスタンドの領収書 紙が感熱紙のため早めにスキャンして保存

ポイント:感熱紙や紙媒体が多い業種こそ、スキャン保存が有効。


freee・マネーフォワード以外の選択肢はある?

スキャン保存に対応した代替ソリューション(中小企業向け)

サービス名 特徴 対応状況
弥生会計オンライン インボイス・電子帳簿保存法対応、税理士と連携強い
Staple(スタップル) 経費精算アプリ。領収書スキャン+申請処理 ◎(検索性〇)
CAMCARD BUSINESS 名刺管理+書類スキャン特化型 △(帳簿連携は別途必要)
Google Drive+Adobe Acrobat Pro 自前運用で自由度高い △(要件管理に注意)

👉 専用会計ソフトと連動したツールが最も安心かつ効率的です。


まとめ:領収書の保存は「義務」ではなく「リスク管理」

ここまで、領収書保存の全体像を整理してきました。

項目 ポイント
保存の基本ルール 紙は7年間、電子は電子のまま保存が義務
スキャン保存の要件 タイムスタンプ・解像度・検索性の確保
保存のベストプラクティス クラウド連携+自動仕訳+仕訳への紐づけ
税務対応のコツ 見やすさ・説明しやすさ・改ざん防止が鍵

「スキャンして終わり」ではなく、「正しい保存」が肝心です。
freeeやマネーフォワードのような対応済み会計ソフトを活用しつつ、無理のない運用を習慣化していきましょう。


✅ 今すぐ実行したい行動リスト

  • 電子帳簿保存法に対応した会計ソフトの無料トライアルを始める

  • 領収書の受け取りからスキャン保存までのルールを社内で決める

  • スキャナ保存の要件を満たすツール・クラウドサービスを確認する

  • 紙の領収書の撮影・アップロードを習慣化する

  • 仕訳との紐づけと検索可能なファイル名のルールを整備する

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