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年度末にやるべき会計処理チェックリスト|決算前に確認すべきポイント

年度末の会計処理、放置していませんか?

「気づいたらもう3月…」「決算期直前だけど、何を確認すればいいか分からない」
――こんな風に焦りを感じる個人事業主・中小企業の方は少なくありません。

特に、初めての決算を迎える場合は、何をチェックすべきかが分からず、
「とりあえず帳簿を締める」「とりあえず経費を入力」だけで終わってしまうケースも。
しかし、年度末の会計処理こそ、節税・資金繰り・経営判断の大きな分かれ道です。


決算直前で見落としやすい“10の落とし穴”

以下のようなミス、思い当たるものはありませんか?

  • 売上や経費の計上漏れ(特に現金取引や請求書ベースの処理)

  • 棚卸資産の評価をしていない(在庫の過剰評価・過少評価)

  • 減価償却費が未計上(固定資産台帳の更新忘れ)

  • 未払い費用や未収収益を記録していない

  • 領収書の保存漏れ/電子帳簿保存法の対応が中途半端

  • 赤字なのに役員報酬の処理や社会保険の見直しがない

  • 節税対策を後回しにして、3月末で使える手が限られている

こうした項目をスルーしたまま決算書を作成すると、
税務署からの指摘や資金繰りの悪化につながるリスクが高まります。


今すぐチェックすべき10項目のチェックリストを活用せよ

年度末にやるべきことを「何となくやる」ではなく、体系的にチェックする仕組みが必要です。
以下は本記事で解説する「年度末の会計処理10項目チェックリスト」の概要です:

No. チェック項目 内容の概要
1 売上・仕入の計上漏れ 特に期末直前の未収・未払取引の把握
2 経費の計上確認 3月中の支払い/未払い経費の処理
3 棚卸資産の評価 棚卸し実施・評価基準の適正化
4 減価償却の確認 固定資産台帳と照合し償却記録を調整
5 未収・未払の調整 未収入金・未払費用の期ズレ修正
6 仮払・仮受の精算 決算時には確定処理が必要
7 貸倒引当金などの期末仕訳 税務上の引当基準の確認
8 特別経費・一時支出の処理 修繕費・開業費・一時的な支出の見直し
9 節税対策の最終確認 小規模企業共済・倒産防止共済・保険など
10 税理士とのコミュニケーション 適切な相談と資料提出で申告精度向上

なぜその10項目が重要なのか?|会計処理が決算・節税・資金繰りに与える影響

会計処理のズレ=利益のズレ=税額のズレ

会計の世界では、「売上や経費の“認識タイミング”がズレること」で利益が過大・過少に計上されることが多々あります。

たとえば:

項目 未処理だった場合 影響
売上の未計上 利益が過少に計上 翌期に課税が集中し、節税機会を失う
経費の未計上 利益が過大に計上 税負担が不当に大きくなる
減価償却漏れ 経費が減少、利益が増加 本来節税できる金額がムダに

こうしたズレは、適切な会計処理と仕訳がなされていないことで発生します。
だからこそ、年度末の段階で総点検し、「ズレの原因を潰すこと」が不可欠です。


決算は、資金繰り・金融評価・補助金にも関わる「経営成績表」

決算書は単に「税務申告のための資料」ではありません。以下のような場面でも活用されます:

  • 融資(日本政策金融公庫、銀行)の審査資料

  • 補助金・助成金(事業再構築補助金など)の申請資料

  • ベンチャー・スタートアップにおける株主向け説明資料

これらの場面では、会計処理が正確であることが「信頼性」に直結します。
棚卸資産や仮払金がいい加減に処理されていると、金融機関や投資家に不信感を与えかねません。


節税対策は「年度末の会計処理」で決まる

節税に使える制度(例:小規模企業共済・倒産防止共済・生命保険契約等)は、3月末時点での加入や支払完了が要件です。
つまり、年度末の段階で「支払っておく」「契約しておく」などのアクションがなければ、その年の節税は手遅れになります。

【節税対策の決算期タイムライン例】

時期 やるべきこと
1月〜2月 共済加入・保険契約の検討・年末棚卸の準備
3月上旬 入金・支払手配/帳簿整備の最終確認
3月末まで 全ての処理を完了しておくことが原則
4月以降 記帳完了/確定申告・決算書作成へ

税務調査で指摘されやすい“決算直前処理”は注意が必要

帳簿付けを後回しにして、3月末にまとめて入力するケースでは、「作為的な調整」とみなされるリスクがあります。
特に税務調査では以下の点が重点的にチェックされます:

  • 異常に大きい経費計上

  • 売上と入金・請求のズレ

  • 領収書や証憑がないまま処理された費用

このため、年度末は正確性だけでなく「透明性・証拠性」も重視されるタイミングとなります。

年度末に確認すべき会計処理|10の具体チェックリスト

✅ チェック1:売上・仕入の計上漏れ

対応内容:

  • 発送済み/納品済みだが未請求の取引がないか確認

  • 請求書発行日と売上計上日がズレていないか確認

  • 外注費や仕入の納品ベースでの記帳確認(受領済みだが未計上など)

ポイント:
消費税の課税関係にも影響があるため、記帳ルール(発生主義or現金主義)に応じて整理を。


✅ チェック2:経費の計上確認

対応内容:

  • 3月末までの経費支払いが帳簿に反映されているか

  • クレジットカード払いの3月利用分を計上しているか

  • 電気・水道などの公共料金の未払い計上(発生分の見積り)

注意:
「支払っていないから経費にできない」と勘違いしていると、経費漏れにつながります。


✅ チェック3:棚卸資産の評価

対応内容:

  • 商品・材料などの在庫を実地棚卸(数量確認)する

  • 在庫評価方法(最終仕入原価法/移動平均法など)の確認

  • 不良在庫や滞留在庫の評価減処理

表:在庫評価の影響例

評価額 利益 税金
高すぎ 利益が多く見える 税金が増える
低すぎ 利益が少なく見える 税務署から否認リスク

✅ チェック4:減価償却の確認

対応内容:

  • 固定資産台帳を更新し、取得日・耐用年数・償却方法を確認

  • 決算期末での月割計算(年度途中で購入した場合)

  • 償却資産税の対象かどうか確認

注意:
10万円以上30万円未満の資産は「一括償却」や「少額減価償却資産の特例」を検討可能。


✅ チェック5:未収入金・未払費用の計上

対応内容:

  • 翌月入金予定の売上があれば「未収入金」として計上

  • 翌月支払い予定の経費があれば「未払費用」として計上

代表例:

勘定科目 内容
未収入金 賃貸料、売掛金とは別枠での臨時収入など
未払費用 水道光熱費、通信費、利息、給与など

✅ チェック6:仮払金・仮受金の精算

対応内容:

  • 仮払金 → 社員出張費・立替交通費などの精算が完了しているか

  • 仮受金 → 取引先からの前受金が売上として処理されているか

注意点:
仮勘定が年度をまたぐと、税務調査で「仮装経理」や「不明資産」と指摘されることも。


✅ チェック7:貸倒引当金などの引当処理

対応内容:

  • 売掛金や貸付金のうち、回収困難なものに対して「貸倒引当金」を設定

  • 賞与引当金や修繕引当金は、税務上損金不算入にならないか確認

ポイント:
中小企業の場合、貸倒引当金の計上は一定条件下で損金算入可能。


✅ チェック8:特別経費・一時支出の処理

対応内容:

  • 修繕費と資本的支出の区分(税務上での損金算入可否)

  • 開業費・創立費の償却開始(支出済で未償却になっていないか)

  • 社員慰労会・記念品などの支出の適正処理(交際費等)

豆知識:
「修繕費」と「資本的支出」は見分けづらく、税務調査での否認リスクも高い項目です。


✅ チェック9:節税対策の最終確認

対応内容:

  • 小規模企業共済、倒産防止共済への加入・掛金支払いの完了

  • 節税型生命保険(法人保険)などの導入時期の確認

  • 青色申告特別控除(複式簿記・期限内提出・電子申告の要件)を満たしているか

表:代表的な年度末節税対策一覧

対策 節税効果 注意点
小規模企業共済 全額所得控除 年内に加入・引落必要
倒産防止共済 損金処理可 売掛金リスクのある業種に有効
法人保険(定期) 損金処理可(プランによる) 解約返戻金とタイミング要注意

✅ チェック10:税理士との連携とスケジュール管理

対応内容:

  • 会計処理内容の事前相談(期末時点での最適化が可能)

  • 必要資料(証憑、台帳、試算表など)の提出

  • 決算・申告スケジュールの共有と締切確認

ポイント:
税理士は“申告代行者”ではなく“経営の伴走者”として活用すべき存在です。


今日からできる行動リスト

✅ やるべきアクションまとめ

  1. チェックリストを印刷・保存して、担当者と分担して確認

  2. 未処理の領収書・帳簿の入力を今すぐスタート

  3. 共済・保険などの節税対策は、申込期限を今週中に確認

  4. 会計ソフト(freeeなど)の導入で処理スピードを上げる

  5. 必要に応じて税理士に早めに相談

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