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フリーランスのための年金対策|国民年金とプラスの備えとは?

自由な働き方の裏にある「老後資金の不安」

フリーランスとして独立すると、働く時間や場所を自由に選べる一方で、将来の年金や老後資金に対する不安も増します。
会社員時代は厚生年金に加入しており、老後の受給額もある程度見込めましたが、フリーランスになると国民年金のみに切り替わります。
国民年金だけでは老後の生活費をまかなうには不足しがちで、自分で上乗せの備えを用意する必要があります。

国民年金だけで生活できるのか?

実際に、国民年金だけで老後を暮らせるのかを見てみましょう。
2025年度の国民年金の満額支給額は 月額約66,250円(年額約79.5万円)。
総務省の家計調査によれば、単身高齢者の平均生活費は 月15〜18万円。
つまり、国民年金だけでは毎月7〜10万円の不足が生じる計算です。

この差額を埋めるためには、

  • 現役時代からの計画的な貯蓄

  • 投資による資産形成

  • 個人年金保険やiDeCoなどの制度活用

といった「複数の収入源」を組み合わせる必要があります。
しかし、制度や商品は種類が多く、税制メリットやデメリットも異なるため、正しい知識と計画的な準備が不可欠です。


フリーランスの年金対策は3ステップで考える

老後の年金不足を補うためには、次の3つのステップを組み合わせるのが効果的です。

  1. 国民年金をしっかり納め、付加年金を検討

  2. 国民年金基金やiDeCoで上乗せ年金を確保

  3. 投資・保険など民間サービスで不足分を補う

特に、国が用意する制度(国民年金基金・iDeCo)は掛金が全額所得控除となり、節税しながら老後資金を積み立てられるため、フリーランスにとって大きな味方となります。


なぜフリーランスは自分で年金対策をする必要があるのか

国民年金だけでは生活費が不足する

国民年金の満額は年間約79.5万円。老後の生活費を月15万円とすると年間180万円必要になり、年間100万円前後が不足します。
20年間の老後生活を想定すると、2,000万円以上の追加資金を準備する必要があります。


厚生年金がないため受給額が少ない

会社員や公務員は国民年金に加えて厚生年金にも加入しており、老後の受給額は月14〜15万円程度です。
しかし、フリーランスは国民年金のみのため、制度上の構造的な差によって年金額が低くなります。


税制優遇のある制度で効率的に積み立てられる

国民年金基金やiDeCoの掛金は全額所得控除となり、所得税・住民税の負担を軽減できます。
例:課税所得500万円のフリーランスが年間20万円をiDeCoに拠出すると、約6万円の節税効果があります(所得税20%+住民税10%で計算)。


早く始めるほど資産形成が有利になる

年金対策は時間を味方につけることが重要です。
30歳から毎月2万円を利回り3%で運用すると、65歳時点で約1,300万円になりますが、40歳からでは約750万円に減ります。
複利効果は早く始めるほど大きくなります。

フリーランスが使える年金+資産形成の選択肢

フリーランスは国民年金だけでなく、複数の制度や商品を組み合わせることで老後資金を効率的に準備できます。ここでは主な5つの選択肢を解説します。


国民年金基金|上乗せ年金の代表格

特徴

  • 国民年金の上乗せとして加入できる制度(任意加入)

  • 掛金は終身年金・確定年金などから選択可能

  • 掛金全額が所得控除(節税効果あり)

メリット

  • 終身年金で一生受け取れる

  • インフレに強い(予定利率で設計)

  • 所得控除による節税効果が大きい

デメリット

  • 中途解約できない

  • 物価や運用環境の変化に影響を受ける可能性あり


付加年金|コスパ抜群のミニ上乗せ制度

特徴

  • 国民年金の保険料に月400円プラスして支払うだけで上乗せ可能

  • 年金額は「200円 × 加入月数」増える

メリット

  • 少額負担で高い利回り(元を取るのに2年弱)

  • 手続きが簡単で始めやすい

デメリット

  • 国民年金基金との併用不可

  • 付加年金単体では大きな年金増額は見込めない


iDeCo(個人型確定拠出年金)|節税と運用を両立

特徴

  • 掛金を自分で運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取る制度

  • 掛金全額が所得控除、運用益も非課税

メリット

  • 節税+長期運用による複利効果

  • 運用商品(投資信託や定期預金)を自由に選べる

デメリット

  • 原則60歳まで引き出せない

  • 運用成績により受取額が変動する


個人年金保険|確実性を重視した積立

特徴

  • 民間の生命保険会社が提供する年金受取型保険

  • 一定期間保険料を払込し、将来年金として受け取る

メリット

  • 受取額が契約時に確定している

  • 年金形式か一時金形式かを選べる

デメリット

  • 解約時は元本割れの可能性

  • インフレに弱い


投資信託・つみたてNISA|流動性と成長性を両立

特徴

  • 株式や債券などに分散投資

  • 長期積立によりインフレリスクを軽減

メリット

  • 流動性が高く、途中で引き出せる

  • 長期では株式市場の成長が期待できる

デメリット

  • 元本保証がない

  • 市場変動によって資産価値が下がることも


比較表|フリーランス向け年金・資産形成制度

制度・商品 節税効果 流動性 元本保証 インフレ耐性 向いている人
国民年金基金 高い 低い △〜○ 安定収入を望む人
付加年金 高い 低い 少額で効率的に上乗せしたい人
iDeCo 高い 低い × 長期運用と節税を両立したい人
個人年金保険 低い × 将来の受取額を確定させたい人
投資信託・NISA 高い × 流動性を確保しながら資産形成

今日から始めるフリーランスの年金対策

年金対策は「知っているだけ」では効果がなく、実際に行動に移すことが重要です。
ここでは年齢別のおすすめ制度組み合わせ、加入までの手順、注意点を解説します。


年齢別おすすめ制度の組み合わせ

20〜30代|時間を味方にした長期運用型

  • iDeCo:掛金を最大限活用し、株式中心の長期投資

  • 付加年金:少額で高効率の上乗せ

  • つみたてNISA:流動性の高い資産形成

ポイント:時間があるため、株式比率を高めた成長型ポートフォリオで複利効果を狙う


40代|安定と成長のバランス型

  • 国民年金基金:安定的な年金収入を確保

  • iDeCo:株式と債券のバランス型運用

  • 投資信託・NISA:中リスク・中リターンの商品で資産形成

ポイント:老後までの時間を活かしつつ、運用リスクを少し抑える


50代|確実性重視型

  • 国民年金基金(確定年金型):受取額を固定

  • 個人年金保険:契約時点で受取額を確定

  • 定期預金・債券:安全性の高い資産で運用

ポイント:資産の減少リスクを避け、予定通りの老後資金を確保


始め方のステップ

  1. 現状把握

    • 国民年金の加入状況・納付状況を年金定期便で確認

    • 将来の年金見込額を把握

  2. 不足額の試算

    • 老後の生活費を想定(例:月15万円)

    • 国民年金との差額を計算

  3. 制度選び

    • 節税効果を重視 → iDeCo・国民年金基金

    • 流動性重視 → つみたてNISA・投資信託

    • 安定重視 → 個人年金保険・国民年金基金(確定型)

  4. 加入手続き

    • 国民年金基金:各都道府県の国民年金基金連合会

    • iDeCo:証券会社や銀行の専用申込フォーム

    • 個人年金保険:保険会社または代理店


注意点と失敗しないためのポイント

  • 途中解約できない制度が多い
    → iDeCo・国民年金基金・個人年金保険は原則60歳まで引き出せない

  • 掛金の負担を無理なく設定する
    → 月々のキャッシュフローを圧迫しない額にする

  • 税制改正や制度変更に注意
    → 国の制度は将来的に条件が変わる可能性がある

  • 運用リスクを理解して商品選びをする
    → 株式中心か債券中心かでリスク・リターンが大きく変わる

フリーランスは「国民年金+上乗せ制度」が必須

フリーランスの老後資金対策は、会社員とは違って自分で積極的に制度を活用することが不可欠です。
国民年金だけでは生活費をまかなうのが難しいため、国民年金基金・付加年金・iDeCo・民間保険・投資信託などを組み合わせて、長期的かつ安定的な収入源をつくることが大切です。


今日からできるアクション

  1. 年金定期便で将来の年金額を確認

  2. 不足額を試算(老後の生活費から国民年金を差し引く)

  3. 優先順位を決めて制度を選ぶ(節税重視か、流動性重視か、安定重視か)

  4. 少額からでも積立をスタート(付加年金やつみたてNISAなど)

老後資金準備は「早く始めるほど楽」になります。1年後、5年後に後悔しないよう、今日から動き出しましょう。


最終メッセージ

フリーランスとして自由な働き方を手に入れた今こそ、将来の生活基盤を固めるチャンスです。
節税しながら資産形成できる制度は、知らないと活用できません。
まずはできるところから一歩踏み出し、「安心して働き続けられる未来」をつくっていきましょう。

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