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住宅ローンと資産形成は両立できる?無理のないマネープランの作り方

家を買うことと資産形成は矛盾しないのか?

マイホーム購入は、多くの人にとって人生最大の支出です。
特に住宅ローンを組むと、数十年にわたって返済が続くため、「資産形成は後回しになってしまうのでは?」という不安を抱く方は少なくありません。

しかし、結論からいえば住宅ローンと資産形成は両立可能です。
重要なのは「住宅ローンの返済」と「将来の資産形成」を同時進行で無理なく続けられるマネープラン設計にあります。

この記事では、住宅ローンと資産形成を両立させるための考え方と具体的な方法を、税理士・FP目線で解説します。


住宅ローンと資産形成を同時に進める難しさ

住宅ローンを抱えながら資産形成をすることには、次のような課題があります。

  • 返済負担が大きく、投資や貯蓄に回す余裕がない
  • 固定資産税や修繕費など、家の維持コストも発生する
  • 金利上昇や収入減少のリスク
  • 住宅ローン減税や税制優遇の仕組みを十分に活用できていない

多くの場合、「返済を優先して資産形成は後回し」という状況になりやすく、その結果、老後資金や教育費の準備が遅れ、将来の家計を圧迫するリスクがあります。

つまり、住宅ローン返済と資産形成をどうバランスさせるかが最大のポイントです。


バランス型マネープランで同時進行が可能

住宅ローンと資産形成は、返済計画と資産運用計画を並行して設計すれば十分に両立可能です。

そのためのポイントは以下の通りです。

  1. 返済比率を抑える(年収の25%〜30%以内が目安)
  2. 住宅ローン減税や税制優遇を最大限活用する
  3. 余裕資金は分散投資に回す(iDeCo・NISA・預金など)
  4. 緊急資金の確保を優先(生活費6ヶ月分)
  5. ライフイベント表とキャッシュフロー表を作る

このように、返済負担をコントロールしながら、無理のない範囲で資産形成を継続することが重要です。


住宅ローンと資産形成が対立しない3つの根拠

1. 住宅ローン減税が資産形成の一助になる

住宅ローン減税は、年末残高の0.7%(条件により異なる)が所得税や住民税から控除される制度です。
この減税分をそのまま生活費に使わず、積立投資や貯蓄に回すことで、返済と資産形成を両立しやすくなります。

例:

  • ローン残高3,000万円 → 控除額21万円
  • この21万円を毎年投資信託で運用すれば、20年後には数百万円の資産形成が可能

2. 低金利時代の借入は「レバレッジ効果」を生む

現在の住宅ローン金利(変動型0.3%〜0.8%程度)は、長期的な株式投資の平均利回り(年3%〜5%)よりも低い水準です。
つまり、低金利で借りて高い利回りで運用することができれば、資産形成のスピードを落とさずに済みます。

ただし、リスクを取りすぎると返済計画が崩れるため、安全資産とリスク資産のバランスが重要です。


3. 資産形成は早く始めるほど有利

複利効果を最大限活かすには、早く始めるほど資産が増えやすくなります。
住宅ローン完済後に資産形成を始めるより、少額でも返済と同時進行で投資や積立を始めた方が、老後資金や教育費の準備に余裕ができます。

4. 住宅は「資産」と「負債」の両面を持つ

住宅は所有しているだけで固定資産税や維持費がかかりますが、立地や将来の需要によっては資産価値を保てる場合があります。
マネープランを立てる際には、自宅の資産価値を長期的に見極めることが重要です。
資産価値が下がりにくい物件であれば、将来的に売却やリバースモーゲージで資金化できる可能性があります。


5. キャッシュフロー管理がリスクヘッジになる

住宅ローンと資産形成を両立させるには、毎月の家計の可視化が必須です。
家計簿アプリやクラウド会計ソフトを活用して、「固定費・変動費・投資額」のバランスをチェックしましょう。
返済額が一定であっても、生活費や教育費が増えれば資産形成は難しくなります。
定期的な見直しが、返済と投資のバランスを守るカギです。


ケーススタディで見る両立パターン

ここからは、住宅ローンと資産形成を両立させたモデルケースを紹介します。


ケース1:30代・共働き世帯の場合

  • 世帯年収:800万円

  • 住宅ローン:3,500万円(変動金利0.5%、35年)

  • 月返済額:約9万円(ボーナス返済なし)

  • 資産形成:つみたてNISA(夫婦で年40万円ずつ)、iDeCo(夫婦で月1万円ずつ)

ポイント

  • 返済比率は年収の約13%で安全圏内

  • 控除額約24万円を投資資金に充当

  • 生活費6か月分の貯金を確保した上で投資

結果として、返済と同時に老後資金も積み上げられるバランス型のプランとなっています。


ケース2:40代・片働き世帯の場合

  • 世帯年収:500万円

  • 住宅ローン:2,500万円(固定金利1.2%、30年)

  • 月返済額:約8万円

  • 資産形成:定期預金(毎月3万円)、つみたてNISA(月1万円)

ポイント

  • 金利がやや高めだが、固定型で返済額が安定

  • リスクを抑えた資産形成(預金中心)

  • 子どもの教育費を優先しつつ、投資も少額から継続

ローン完済後に投資額を増やし、老後資金の準備を加速する計画です。


ケース3:自営業者・不安定収入の場合

  • 年収:波があり300〜800万円

  • 住宅ローン:2,000万円(変動金利0.7%、20年)

  • 月返済額:約9万円(繰上げ返済あり)

  • 資産形成:普通預金(生活費1年分)、小規模企業共済(月5万円)

ポイント

  • 収入が不安定なため、流動性の高い資金を重視

  • 共済を活用し、退職金準備と節税を両立

  • 余剰資金が出た年にスポット投資や繰上げ返済を実施

安定収入ではない分、手元資金の厚みを重視してリスク管理をしています。

住宅ローンと資産形成を両立させるためのステップ

ステップ1:家計の現状を把握する

まずは、毎月の収支・貯蓄額・ローン残高・金利条件を整理しましょう。
家計簿アプリやExcelで「固定費・変動費・投資額」を可視化すると、資金配分の最適化がしやすくなります。


ステップ2:返済比率を適正化する

返済額が年収の20〜25%以内になるように調整します。
もし超えている場合は、

  • 繰上げ返済で負担を減らす

  • 借り換えで金利を下げる

  • 返済期間の延長を検討する
    などの方法があります。


ステップ3:投資と貯蓄のバランスを決める

資産形成を優先しすぎてローン返済が遅れるのも、返済ばかりで投資ゼロも避けたいところです。
理想は返済:投資:貯蓄=5:3:2のバランス。
ライフステージに応じてこの比率を変えても構いません。


ステップ4:控除や制度を活用する

  • 住宅ローン控除:毎年の所得税・住民税の還付額を投資に回す

  • つみたてNISA・新NISA:長期・分散・積立で非課税運用

  • iDeCo:掛金全額所得控除で節税しながら老後資金を準備

  • 共済制度:自営業者なら小規模企業共済などを併用


ステップ5:年1回のマネープラン見直し

収入・支出・金利動向・家族構成の変化に応じて、ローンと資産形成のバランスを再チェックします。
特に金利上昇局面や教育費の増加期は見直しの好機です。


まとめ

住宅ローンと資産形成は、一見すると相反するように思えますが、計画的に取り組めば十分に両立可能です。
大切なのは、

  • 適正な返済比率の維持

  • 投資と貯蓄のバランス

  • 節税制度の活用

  • 定期的な見直し
    といった基本を守ることです。

「住宅ローン完済後に資産形成を始める」のではなく、「ローン返済と同時に資産形成を進める」ことで、将来の経済的自由に近づくことができます。

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