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iDeCoで節税と資産形成を両立させる方法【個人事業主向け】

将来のための資産形成、今から備えていますか?

個人事業主として事業を営んでいると、会社員とは異なり退職金制度や企業年金といった仕組みがない場合がほとんどです。
そのため老後資金をすべて自分で準備する必要がありますが、同時に現役時代の税負担を軽減する工夫も欠かせません。

そんな中、「節税」と「資産形成」を同時に叶える制度として注目されているのが**iDeCo(個人型確定拠出年金)**です。
しかし、「名前は聞いたことがあるけど仕組みが難しそう」「個人事業主にとって本当に得なの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、個人事業主がiDeCoを活用して税金を減らしながら、老後資産を着実に増やす方法を具体的に解説します。


節税対策だけでは将来は守れない

日本の税制では、事業所得が増えれば増えるほど所得税・住民税・国民健康保険料の負担が重くなります。
一方、将来受け取る公的年金は会社員に比べて少なく、自助努力による資産形成が必須です。

ここでよくある落とし穴が、「とにかく節税優先で支出を増やす」というやり方。
確かに経費を増やせば税額は減りますが、それは同時に手元資金が減り、将来の蓄えも減ることを意味します。
単なる節税は、長期的に見れば老後資金不足を招く可能性があります。

つまり、個人事業主に必要なのは**「今の税負担を軽くしつつ、将来の生活資金を確保する」**という視点です。
その両立を可能にするのが、iDeCoです。


iDeCoは「最強の老後資金作りツール」

iDeCoは、掛金が全額所得控除となるため、課税所得を減らすことで所得税・住民税をダブルで節税できます。
さらに、運用益も非課税で再投資され、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除が使えます。

特に個人事業主は、会社員や公務員よりも**掛金の上限額が高い(月額6.8万円、年81.6万円)**ため、大きな節税効果と資産形成効果を得られる可能性があります。

iDeCoが節税と資産形成を両立できる仕組み

1. 掛金が全額所得控除になる

iDeCoの最大の特徴は、拠出した掛金がそのまま所得控除の対象になることです。
たとえば年間81.6万円を拠出した場合、その金額が課税所得から差し引かれます。

節税効果シミュレーション(所得税+住民税10%の場合)

年間拠出額 課税所得減額 節税額(年間)
36万円 36万円 約3.6万円
60万円 60万円 約6万円
81.6万円 81.6万円 約8.16万円

※実際の節税額は所得税率・住民税率により変動します。所得が高い人ほど節税効果は大きくなります。


2. 運用益が非課税で再投資できる

通常、株式や投資信託の運用益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoではこれが非課税になります。
つまり、複利効果を最大限に活かせるため、長期的な資産形成に有利です。

例:年間5%の利回りで20年間運用すると、課税ありの場合と比べて数十万円〜数百万円の差が出ることもあります。


3. 受取時にも税制優遇あり

iDeCoは60歳以降に受け取る際にも、退職所得控除または公的年金等控除が適用されます。
これにより、受取時の税負担も軽くなります。

受取方法 適用控除 ポイント
一時金 退職所得控除 勤続年数×40万円(20年超は70万円)を非課税にできる
年金形式 公的年金等控除 年金収入額に応じた非課税枠を利用できる

4. 個人事業主は掛金上限が高い

会社員や公務員は掛金上限が月額1.2万円〜2.3万円程度に制限されていますが、
個人事業主は月額6.8万円(年81.6万円)まで拠出できます。

この差は、そのまま節税効果と資産形成額の差につながります。


5. 他の節税制度との併用が可能

iDeCoは小規模企業共済や生命保険料控除など、他の節税制度とも併用できます。
特に小規模企業共済との組み合わせは、老後資金+事業廃業時の備えの両方をカバーできます。


💡 ポイントまとめ

  • 掛金全額が所得控除 → 所得税・住民税が減る

  • 運用益非課税 → 複利効果が最大化

  • 受取時の税制優遇 → 最後まで税金に配慮

  • 個人事業主は掛金枠が大きく有利

  • 他制度と組み合わせ可能

シミュレーションで見る節税効果と資産形成額

1. 年間81.6万円拠出した場合の節税効果

仮に課税所得が500万円、所得税率20%・住民税率10%の個人事業主が、
iDeCo掛金を満額(年81.6万円)拠出した場合の節税額を試算します。

項目 金額
掛金年間総額 816,000円
所得控除効果 816,000円
節税額(税率30%) 約244,800円/年
10年間の累計節税額 約244.8万円

2. 運用益の非課税効果

同じ金額を年利3%で20年間運用した場合、課税ありと課税なしで以下の差が出ます。

運用条件 課税あり(通常投資) 課税なし(iDeCo)
元本 1,632万円 1,632万円
最終資産額 約2,240万円 約2,500万円
差額 - 約260万円

※複利効果による資産増加が、課税なしのiDeCoでより大きくなる。


3. 他の制度との併用例

個人事業主はiDeCo+小規模企業共済を同時に活用できます。
例えば、

  • iDeCo:年81.6万円(節税額 約24万円)

  • 小規模企業共済:年84万円(節税額 約25万円)

合計すると年間約49万円の節税が可能になります。


4. 老後資金の総額イメージ

もし30歳から60歳まで30年間、iDeCoを満額拠出&年3%運用すると…

項目 金額
拠出総額 2,448万円
運用益(非課税) 約1,300万円
最終資産額 約3,748万円

💡 シミュレーションから見えること

  • 節税効果は掛金額と税率に比例して大きくなる

  • 非課税運用による複利効果が老後資金を大きく押し上げる

  • 他の制度と組み合わせることで節税額が倍増する可能性あり

iDeCoを始めるためのステップと注意点

1. iDeCoを始めるためのステップ

フリーランスや個人事業主がiDeCoを始める流れは次の通りです。

  1. 加入資格の確認

    • 20歳以上65歳未満

    • 国民年金保険料を納付していること

    • 個人事業主や自営業者は第1号被保険者として加入可能

  2. 金融機関を選ぶ

    • 銀行、証券会社、保険会社などで取り扱いあり

    • 商品ラインナップや手数料(口座管理料、運営管理手数料)を比較

    • ネット証券は低コスト&商品数が豊富な傾向

  3. 必要書類の準備と申込み

    • 国民年金被保険者種別証明書

    • 本人確認書類(運転免許証など)

    • 金融機関が用意する加入申込書類

  4. 掛金額の設定

    • 個人事業主は月68,000円まで設定可能(年81.6万円)

    • 無理のない範囲でスタートし、後から増額も可能

  5. 運用商品の選択

    • 元本確保型(定期預金、保険)

    • 投資信託(株式型、債券型、バランス型など)

    • リスク許容度に合わせて配分を決定


2. 運用中の注意点

iDeCoは長期積立・長期運用が前提の制度です。以下のポイントに注意しましょう。

  • 60歳まで原則引き出せない
    途中解約は原則不可。急な資金需要に対応できない点は要確認。

  • 運用成績によるリスク
    投資信託は元本割れの可能性あり。分散投資が重要。

  • 掛金変更は年1回まで
    収入変動に応じて見直すタイミングを意識。


3. 受け取り時の注意点

iDeCoの受け取り方法は3種類あります。

受取方法 特徴 税制優遇
一時金 まとめて受け取る 退職所得控除
年金形式 分割で受け取る 公的年金等控除
併用 一部を一時金、残りを年金形式 両方の控除を活用可能

💡 節税ポイント

  • 一時金の場合、受取年度を退職金や他の所得と重ならないようにする

  • 年金形式は年金受給額と合算して税率を下げる工夫が可能


4. iDeCo活用のチェックリスト

  • 国民年金保険料を滞納していない

  • 掛金額は無理のない範囲で設定

  • 金融機関と商品を比較して選んだ

  • 他の節税制度(小規模企業共済など)との併用を検討

  • 受け取り時の税制を事前にシミュレーション


まとめ

iDeCoは、フリーランスや個人事業主にとって節税と資産形成を同時に叶える強力な制度です。
掛金の全額所得控除、運用益の非課税、受け取り時の控除と、三重の税制優遇があります。
さらに、小規模企業共済などの制度と組み合わせれば、年間数十万円規模の節税も可能です。

長期的なライフプランを見据えつつ、無理のない金額から始めて、老後資金の安心を今から積み上げていきましょう。

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