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資金繰りに強い経営者がやっている3つの習慣とは?

はじめに

会社経営において「資金繰り」は売上や利益以上に重要なテーマです。
売上が好調でも、資金繰りが悪化すれば黒字倒産の危険があります。特に中小企業や個人事業主は、資金繰りの管理が経営の安定に直結します。

しかし、多くの経営者は資金繰りを「資金ショート寸前で慌てて対応する」状態で運用しており、日常的な習慣として取り組んでいる人は意外と少ないのです。

本記事では、資金繰りに強い経営者が日常的に実践している3つの習慣を、初心者でもわかりやすく解説します。


資金繰りに関する問題点とは?

  • なぜ多くの経営者は「資金繰り」に後手を踏んでしまうのか?

  • 利益が出ているのに資金が減っていくのはなぜか?

  • 銀行からの信用を高めるために日常的にできることは何か?

資金繰りの悪化は、以下のような典型的なパターンで起こります。

状況 典型的な原因
売上があるのに資金不足 売掛金回収の遅れ・在庫増加
資金ショート直前で慌てる 月次資金繰り表の未作成
融資が通らない 財務情報の整理不足・信用力不足

これらは突発的な問題ではなく、日常の資金管理習慣が不十分であることが根本原因です。


資金繰りで困らないためにはどうする?

資金繰りに強い経営者は、日々の小さな行動を積み重ねています。
特に、次の3つの習慣が共通して見られます。

資金繰りに強い経営者の3つの習慣

  1. 毎月・毎週の資金繰り表チェック
     ― 未来の資金残高を把握し、資金ショートを未然に防ぐ。

  2. キャッシュインの前倒し・キャッシュアウトの後ろ倒し
     ― 入金を早く、支出を遅らせる仕組みづくり。

  3. 金融機関との関係構築を平時から行う
     ― 資金が必要になる前に信用を蓄積しておく。

これらは特別な知識や高額なシステムがなくても実践可能で、会社の規模に関係なく始められる方法です。

なぜ習慣化が重要なの?

1. 毎月・毎週の資金繰り表チェックが重要な理由

資金繰り表は、会社の未来の資金残高を予測するための「経営のカーナビ」です。
作らない場合、経営者は次のような危険にさらされます。

  • 資金ショートの予兆を見逃す

  • 売上増加による資金不足(売掛金回収の遅れ)に気づけない

  • 融資を申し込むタイミングを逃す

例えば、決算書は過去の結果を示す書類ですが、資金繰り表は未来の予測を示します。
資金繰り表を毎月1回だけでなく、週次でも更新することで、突発的な支出や売上変動にも素早く対応できます。


2. キャッシュインの前倒し・キャッシュアウトの後ろ倒しが有効な理由

会社の資金残高は、「入金(キャッシュイン)」と「支出(キャッシュアウト)」のタイミングで大きく変わります。
同じ売上・同じ経費でも、入金が早く・支出が遅ければ、手元資金は増えます。

主な効果

  • 資金ショートのリスク低減

  • 銀行融資の必要額の縮小

  • 運転資金の余裕確保

例えば、取引先に請求書を月末締め翌月末払いから翌月15日払いに変更してもらうだけで、資金繰りは大きく改善します。
また、支払先との契約交渉で支払いサイトを延長すれば、同じ売上でも資金残高が増えるケースがあります。


3. 金融機関との関係構築を平時から行う理由

銀行や信用金庫は、資金が必要になった時だけ訪れても信用を得るのは難しいです。
資金繰りに強い経営者は、資金が潤沢な時期から金融機関との関係を築いています。

平時から関係構築するメリット

  • 緊急時の融資スピードが速くなる

  • 金利や融資条件が有利になる

  • 経営改善のアドバイスを受けやすい

特に中小企業では、融資実行までに最低でも数週間かかるケースが多いため、資金不足が発覚してからでは遅いのです。
資金繰りに強い経営者は、月次の試算表や資金繰り表を定期的に銀行へ見せて「情報提供と信頼関係」を積み上げています。

資金繰り改善のための実践例

1. 資金繰り表の実践例

資金繰り表は、単に「残高の一覧」を作るだけではなく、未来の資金の動きを予測する表として作成します。
例えば、以下のようなフォーマットです。

日付 期首残高 入金予定 出金予定 当日残高
4/1 1,000,000 500,000(売掛金回収) 200,000(仕入) 1,300,000
4/8 1,300,000 0 150,000(給与) 1,150,000
4/15 1,150,000 300,000(売掛金回収) 100,000(外注費) 1,350,000
4/30 1,350,000 0 400,000(家賃・光熱費) 950,000

ポイントは以下です。

  • 入金予定日は必ず契約条件ベースで(例:翌月末払いならその日付で)

  • 出金予定も全て記載(仕入・給与・社会保険料・税金など)

  • 毎週更新し、残高がゼロまたはマイナスにならないかを常に確認


2. キャッシュイン前倒しの事例

  • 請求書の発行タイミングを早める
    月末締め翌月末払いの取引先であっても、請求書発行を月末ギリギリではなく「締日の翌日」に送れば、先方の入金処理が早くなることがあります。

  • 分割請求の活用
    1件100万円の案件を納品後一括請求するのではなく、作業進捗に合わせて着手金30万円+中間金30万円+完了時40万円のように請求すれば、資金繰りが安定します。


3. キャッシュアウト後ろ倒しの事例

  • 支払いサイトの延長交渉
    仕入先や外注先に「支払日を翌月末→翌々月5日に延長」してもらう。
    その際は、継続的な取引や量の増加を条件にすると成功率が高いです。

  • クレジットカード払いの活用
    経費をクレジットカードで支払えば、締日から支払日まで1か月程度の猶予が生まれます。
    ただし、使いすぎには注意。


4. 銀行との関係構築例

  • 月次試算表の提出
    毎月または四半期ごとに、簡単な経営報告と試算表を銀行に提出する。
    これは「貸しても大丈夫な会社」という信頼形成に直結します。

  • 定期的な雑談訪問
    資金が必要ない時期にも、銀行担当者と世間話や業界情報交換をしておく。
    緊急時には担当者が社内で積極的に動いてくれます。

資金繰り改善のための行動

ステップ1:現状把握(今日〜明日)

  1. 銀行口座の残高と入出金予定を確認

    • 全口座の残高と、1か月先までの入金・出金予定を書き出します。

    • GoogleスプレッドシートやExcelでOK。

  2. 資金繰り表のテンプレをダウンロード

    • 無料テンプレを利用すればすぐ作成可能(会計ソフトfreee・マネーフォワードにも標準機能あり)。


ステップ2:資金繰り表の作成(3日以内)

  • 1週間単位で「入金予定・出金予定・残高」を記入

  • 最低でも3か月先までの予測を作る

  • マイナスになりそうな時期を事前に把握

📌 ポイント:作成時は「税金・社会保険料・ボーナス」など、忘れがちな支出も必ず入れる。


ステップ3:キャッシュイン改善(1週間以内)

  • 主要取引先に請求書発行の早期化を打診

  • 高額案件は着手金・中間金方式に変更

  • 回収遅延が発生している取引先には入金日を明確化し、遅延時はすぐ連絡


ステップ4:キャッシュアウト改善(1週間以内)

  • 仕入先や外注先に支払いサイト延長を交渉

  • 経費は可能な限りクレジットカード払いに変更(※使い過ぎ注意)

  • 固定費(家賃・通信費など)の見直し開始


ステップ5:銀行との関係構築(今月中)

  • 月次試算表を作成し、簡単な経営コメントと一緒に銀行担当者へ送付

  • 必要がなくても雑談訪問を行い、信頼関係を強化


ステップ6:習慣化(毎週)

  • 毎週月曜日に資金繰り表を更新

  • 入金遅延や予想外の出費がないか確認

  • 1週間先、1か月先、3か月先で資金が不足する可能性を常に予測


まとめ

資金繰りに強い経営者は、「運任せ」ではなく常に数字を先読みして動いているという共通点があります。
今日からできる小さな習慣が、数か月後には大きな資金余力となり、経営の安定をもたらします。

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