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資金繰りが苦しいときに考えるべき経費削減の順番と考え方

資金繰り悪化は「支出の優先順位の誤り」から始まる

会社の資金繰りが苦しくなる原因は、売上の減少や入金遅延だけではありません。実際には「支出の優先順位があいまいなまま、場当たり的に経費を使ってしまう」ことが資金不足を招く大きな要因です。
経費削減は単なるコストカットではなく、会社の未来を守る戦略的な選択です。
特に資金が逼迫しているときこそ、「どの経費から削るべきか」という順番を誤らないことが重要です。


間違った経費削減が会社を弱らせる

資金繰りが厳しくなると、多くの経営者は感覚的に「大きな金額の経費」や「すぐ削れる費用」に手を付けがちです。
しかし、その判断が誤ると次のような悪循環を引き起こします。

  • 必要な投資を削ってしまい、売上がさらに減少する

  • 社員の士気が下がり、生産性や離職率が悪化する

  • 取引先からの信頼を損ない、仕入れ条件が悪化する

経費削減の目的は「資金繰りの改善」であり、「業績悪化」ではありません。
そのためには、感覚ではなく優先順位のルールに沿った削減が必要です。


経費削減は「影響の小さい固定費」から段階的に進める

資金繰りが苦しいときの経費削減は、次の順番を意識することで、経営へのダメージを最小限に抑えられます。

  1. 無駄な支出の即時カット
    (例:使っていないサブスク、重複契約、不要な外注)

  2. 売上に直結しない固定費の見直し
    (例:高額なオフィス賃料、不要な保守契約)

  3. 変動費の効率化
    (例:仕入単価交渉、業務委託費の条件見直し)

  4. 戦略的経費の再検討
    (例:広告宣伝費、人件費構成の最適化)

  5. 売上増加とセットでの削減判断
    (削るだけでなく、収益改善と併行)


なぜ順番が重要なのか

経費削減の順番を間違えると、短期的には現金が増えても、中長期的には売上・利益を減らしてしまいます。
その理由は、経費には会社を維持するための基礎的経費と、売上を生み出すための戦略的経費があるからです。


経費の分類と資金繰りへの影響度

経費の種類 資金繰りへの影響 売上への影響
不要経費 使っていないシステム、契約更新不要な保守 即改善 なし
固定費 家賃、保険料、光熱費 中期改善 少ない
変動費 仕入、外注費 即改善 場合により大
戦略的経費 広告、教育、人件費の一部 長期的悪化の可能性 大きい

この表からもわかるように、削減すべきは「資金繰りへの影響が大きく、売上への影響が小さい経費」からです。

経費削減の心理的落とし穴

経費削減を急ぐと、経営者は「見えやすい費用」や「短期で効果が出る費用」にばかり目が向きます。
しかし、このアプローチには以下の落とし穴があります。

  • 広告や営業活動を削る → 新規顧客獲得が減り、売上減少

  • 人件費を一気に減らす → 業務停滞、顧客対応の質低下

  • 教育費を削る → 長期的な競争力の低下

つまり、「今を乗り切る」ために未来を犠牲にする判断をすると、資金繰りは一時的に改善しても数カ月後にさらに厳しくなります。
だからこそ、順番とバランスを意識した削減が必要です。


経費削減の正しいステップ

ステップ1:不要経費の棚卸し

  • 使っていないソフトやアプリのサブスク解約

  • ほとんど使わない駐車場や倉庫契約の解除

  • 同じ機能を持つサービスの重複契約解消

ステップ2:固定費の交渉・縮小

  • オフィス賃料の減額交渉や移転検討

  • 保険契約の補償内容・金額見直し

  • 電気・通信費プランの変更

ステップ3:変動費の効率化

  • 仕入先の見直し・単価交渉

  • 発注ロットの調整で在庫圧縮

  • 外注業務の内製化検討

ステップ4:戦略的経費の最適化

  • 効果測定のない広告を中止し、高ROIの施策に集中

  • 社員研修をオンライン化してコスト削減

  • 生産性向上につながる設備投資は維持


資金繰り改善と経費削減の実践手順

1. 支出全体の可視化

現金出入りを「固定費・変動費・不要経費」に分類し、月単位で把握する。
特に銀行口座の出金履歴とクレジットカード利用明細を洗い出す。

2. 削減インパクトの試算

「削減金額 × 年間」でインパクトを算出し、削減優先順位を数値で決める。
例:月1万円削減 → 年12万円のキャッシュ改善。

3. 削減効果とリスクのバランス評価

削ることで業務効率・売上にどの程度影響があるかを評価。
影響が小さい順に実行する。

4. 実施とモニタリング

削減実施後も、月次の資金繰り表で効果を確認し、必要に応じて追加対応。


経費削減は「短期の現金確保」と「長期の事業維持」の両立がカギ

資金繰りが苦しいときこそ、感覚ではなく順番と基準に基づいた経費削減が必要です。
削減の順序を守れば、経営へのダメージを最小限に抑えつつ現金を確保できます。
逆に、間違った経費削減は事業基盤を壊し、さらに資金難を招きます。
今日から「不要経費の洗い出し」から始め、段階的な見直しを進めましょう。

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