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【住民税と所得税の違いとは?仕組みと節税対策をわかりやすく解説】

知っておきたい「住民税」と「所得税」の基本

「税金」とひとことで言っても、その中にはさまざまな種類があります。その中でも特に身近なのが「住民税」と「所得税」。
会社員は給与明細で控除され、個人事業主は確定申告で支払いますが、この2つの違いをきちんと理解している人は案外少ないかもしれません。

特に節税を考えるうえで重要なのは、「どちらがどんな仕組みで課税され、どうやって節税ができるのか?」という視点です。
実はこの2つの税金、仕組みも納税タイミングも節税方法も大きく異なります。

本記事では、住民税と所得税の違いをわかりやすく整理しながら、両者の関係性と、合法的に負担を減らす方法を解説します。


知らないと損!住民税と所得税の混同リスク

個人事業主や中小企業経営者が節税を意識し始めるとき、「所得税は節税対策したのに、住民税が思ったより高かった…」という声をよく聞きます。

これには理由があります。
両者は同じ「所得」に対して課税されるにもかかわらず…

  • 税率の仕組みが違う

  • 計算タイミングが違う

  • 控除の反映時期がずれる

といった性質の違いがあるため、「所得税だけに気を取られていた」結果、住民税でつまずくのです。

また、副業をしている人や開業したての事業主にとっても、「思ったより税金が高くて手元資金が減ってしまう」など、資金繰りを圧迫する事態につながりかねません。


2つの税金をセットで理解することが節税の第一歩

結論として、住民税と所得税は以下のように整理できます。

比較項目 所得税 住民税
課税主体 国(国税) 都道府県・市区町村(地方税)
納税方法 原則:源泉徴収 or 確定申告 原則:前年所得に基づき課税・翌年納付
税率の特徴 累進課税(5%〜45%) 一律課税(基本10%)
控除の適用 所得控除・税額控除が豊富 所得控除は類似だが、税額控除は限定的
節税アプローチ 控除の最適化・青色申告・経費管理等 所得税対策の結果を翌年に反映

このように、所得税は「即時性のある対策」が効果を発揮しやすい一方、住民税は「前年の所得」が反映されるため、タイムラグのある税金です。

したがって、**「所得税と住民税をセットで設計する視点」**こそが、資金繰りと節税の両面で非常に重要になります。

住民税と所得税は何が違うのか?

① 課税される主体が異なる

まず最も基本的な違いは、「誰に支払う税金か」という点です。

項目 所得税 住民税
税金の種類 国税 地方税
納税先 国(日本国政府) 都道府県・市区町村
所管する役所 税務署(国税庁) 各自治体の市区町村役場など

つまり、所得税は国に、住民税は自分の住んでいる自治体に支払う税金です。

② 税率の構造が異なる

  • 所得税は累進課税制度:所得が多くなると、段階的に税率が上がります(5%~45%)。

  • 住民税は原則一律10%(所得割9%+均等割1%):所得が多くても税率は上がりません。

課税所得(例) 所得税の税率 住民税の税率
~195万円 5% 約10%
195~330万円 10% 約10%
330~695万円 20% 約10%
900万円以上 最大45% 約10%

所得税の税率は「税負担の公平性」の観点で段階的に上昇しますが、住民税は一律です。
これが、所得が高くなると住民税の相対的負担感が小さくなる理由の一つです。

③ 納税タイミングが異なる

税金の種類 いつの所得に対して課税? 納付のタイミング
所得税 今年の所得 翌年3月15日までに確定申告
住民税 去年の所得 翌年6月以降に通知・納付

特に注意が必要なのは「住民税は前年の所得に基づいて課税される」という点。
たとえば、2024年に大きく稼いだ場合、その影響で2025年の住民税が高額になるというタイムラグが発生します。

④ 控除・申告の影響範囲が異なる

  • 所得税は申告時点の控除がそのまま税額に影響。

  • 住民税は控除の情報が自治体に共有されるまでにタイムラグあり。

特に住宅ローン控除やふるさと納税など、住民税にも影響する税額控除は、確定申告の適切な記載が必須です。


視覚的なまとめ:住民税と所得税の違い早見表

比較項目 所得税 住民税
課税主体 国(国税) 地方自治体(地方税)
税率の特徴 累進課税(5%~45%) 一律課税(約10%)
課税所得の計算方法 所得 − 所得控除 所得 − 所得控除
納税時期 翌年3月(確定申告) 翌年6月以降(通知書に基づく)
控除の反映方法 直接反映 申告情報を自治体が参照
節税のしやすさ 高い(控除・経費豊富)

やや限定(税率固定)

住民税と所得税の計算比較と節税の違い

ここでは、具体的な事例を使って、住民税と所得税の負担の違い、節税インパクトを比較してみましょう。

ケース1:年収300万円のフリーランス(独身・基礎控除のみ)

  • 所得控除:48万円(基礎控除)

  • 課税所得:300万円 − 48万円 = 252万円

税金の種類 計算式 税額
所得税 (252万円×10%)− 97,500円 155,500円
住民税 252万円×10%(一律)+5,000円 255,000円

※住民税の均等割は都道府県+市町村で概ね5,000円前後と仮定

合計税額:410,500円(うち所得税38%、住民税62%)

このケースでは住民税の負担割合が大きく、実質的に住民税の節税対策が重要になることがわかります。


ケース2:年収600万円の会社員(配偶者・扶養あり、各種控除あり)

  • 所得控除:基礎48万+配偶者38万+扶養38万+社保90万 = 214万円

  • 課税所得:600万円 − 214万円 = 386万円

税金の種類 計算式 税額
所得税 (195万×5%)+(135万×10%)+(56万×20%)−控除 約330,500円
住民税 386万円×10%+5,000円 約390,000円

合計税額:約720,500円

所得税は段階的な税率による計算のため、累進的な上がり方をしています。

このように、課税所得が高くなるほど所得税の割合が増え、節税インパクトも大きくなります。


節税効果の比較:ふるさと納税・iDeCo・経費の扱い

以下に、代表的な節税策による所得税と住民税のインパクトの違いを示します。

節税策 所得税に効果 住民税に効果 補足
ふるさと納税 所得税の控除+住民税の税額控除
iDeCo(個人型) 所得控除により両方に効果あり
経費計上 所得を直接圧縮するため両方に影響
医療費控除 所得税には強い効果あり
生命保険料控除 控除額が少ないため影響は限定的

視覚的に:住民税は一律課税なので、「税額控除」のある節税策(ふるさと納税など)が特に有効です。


誤解しがちなポイント

  • 「住民税は源泉徴収されない」は誤解:会社員も6月以降、住民税が給与から天引きされます。

  • 「所得税が減った=税金対策成功」と考えると、住民税が高くなってビックリするケースもある。

今からできる住民税・所得税の節税対策まとめ

節税対策の基本ステップ

住民税と所得税の違いを理解したら、実際の節税行動につなげましょう。以下はおすすめのステップです。

① 年末調整・確定申告の準備を早めに始める

  • 医療費控除やふるさと納税の受領書など、控除証明書は早めに整理

  • 会社員であっても、控除の適用に漏れがないよう確定申告を活用

② ふるさと納税を計画的に行う

  • 控除限度額をシミュレーションして、年内に寄付完了

  • ワンストップ特例制度を利用するか、確定申告に含めるかを選ぶ

③ iDeCoや小規模企業共済に加入する

  • 毎月の積立が全額所得控除になるため、所得税・住民税どちらにも効果あり

  • 長期的な資産形成と節税を両立できる

④ 経費の見直しと家事按分の活用

  • フリーランスや個人事業主は、電気代・通信費・家賃の一部を経費化

  • 適正な按分を行い、経費として計上すれば住民税・所得税双方の圧縮に


節税対策チェックリスト【無料でできる項目も】

チェック項目 内容 節税対象
ふるさと納税 控除証明書を入手・寄付上限を確認 住民税・所得税
iDeCo 掛金額の見直し・加入状況の確認 所得税・住民税
医療費控除 年間10万円超なら領収書を集める 所得税
経費の再確認 家事按分・出張旅費の再精査 両方
青色申告 特別控除(最大65万円)活用 両方

税の仕組みを理解して、賢く節税を

住民税と所得税の違いは、

  • 「誰が課すか(国or地方)」

  • 「税率の構造(累進or一律)」

  • 「控除の影響度」
    といった点で異なります。

しかし、どちらも課税所得を元に計算される点では共通しています。
そのため「課税所得を減らす=節税の基本」という原則に沿って対策することが重要です。

最後に:

税金は「知らないと損」「知ってるだけで得」になる分野です。
本記事を通じて、自分の所得と納税の仕組みをしっかり理解し、できる対策からすぐに行動に移しましょう!

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