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【税理士が解説】会社員がふるさと納税で節税できる仕組みと限度額の目安

はじめに

「ふるさと納税でお得になるって本当?」「自分にも関係あるの?」
そんな疑問を持つ会社員の方は少なくありません。テレビやネットで話題になる一方で、制度の仕組みや注意点がよく分からないという声も多く聞かれます。

本記事では、ふるさと納税の仕組みや節税効果、限度額の計算方法まで、会社員の方でもすぐに実践できるよう、税理士がわかりやすく丁寧に解説します。

「損せず活用したい」「今年こそチャレンジしたい」という方に、正しい知識と実践方法をお届けします。


見落としがちな落とし穴とは?

ふるさと納税は「実質2,000円の負担で豪華な返礼品がもらえる」と紹介されることが多く、一見するとメリットばかりに思えます。ですが、実際には以下のような見落としや勘違いが多くあります。

よくある誤解・失敗例

誤解や失敗例 説明
1. 所得が少ないのに寄附しすぎた 限度額を超えると自己負担が増え、節税どころか損することもあります。
2. ワンストップ特例を申請し忘れた 確定申告が必要になるケースなのに手続きをしていないと控除されません。
3. 控除対象が住民税だけだと思っていた 実は、住民税だけでなく所得税も控除対象。両方合わせて減税される仕組みです。

これらを避けるには、「ふるさと納税の全体像」と「仕組みの理解」が必要不可欠です。

ふるさと納税は正しく使えば節税になる

結論から言うと、ふるさと納税は会社員でも実質的な節税効果が見込める制度です。
控除上限内であれば、支払った寄附額から2,000円を差し引いた金額が所得税+住民税から差し引かれるため、結果として節税になります。

節税のポイント

  • 限度額の把握が最重要:収入や家族構成によって異なります

  • 控除は2種類ある:所得税と住民税の両方で控除される

  • 返礼品の選び方や自治体選定にも工夫が必要

なぜ節税になるのか?

ふるさと納税の基本構造とは?

ふるさと納税は、**「寄附金控除」**の一種です。
地方自治体へ寄附することで、一定額が税金から差し引かれる仕組みになっています。

具体的には、次の2種類の控除が適用されます。

種類 控除の内容
所得税の控除 寄附額の一部が所得税額から還付される
住民税の控除 翌年度の住民税から控除される(基本分+特例分)

この2つを合算することで、実質的な節税になります。


所得税と住民税の違いを押さえる

税金 控除の時期 控除の方法
所得税 寄附した年の確定申告で還付 翌年3月頃に現金で還付されることが多い
住民税 翌年6月以降の住民税通知で減額 税額がその分差し引かれる形で適用される

※ワンストップ特例制度を使えば「住民税のみで全額控除」される形になります(後述)。


「実質2,000円負担」のカラクリとは?

ふるさと納税でよく聞く「実質2,000円負担」とは、寄附金額から税額控除される総額を引いたあとの自己負担分を意味します。

たとえば:

  • 寄附額:50,000円

  • 控除額:48,000円

  • 自己負担額:2,000円

となり、残り48,000円が所得税と住民税から差し引かれます。


上限額を超えるとどうなる?

注意すべきなのが「控除の上限額を超えた寄附」は自己負担になる点です。
つまり、寄附すればするほど節税できるわけではなく、収入や家族構成に応じた限度額の把握が超重要です。

限度額シミュレーションと活用例|年収別・家族構成別の目安

ふるさと納税の限度額を決める要素

ふるさと納税で節税するには、「控除上限額」を正しく把握することが大前提です。
控除の上限額は次の要素で変動します。

  • 年収(給与所得)

  • 家族構成(配偶者や扶養家族の有無)

  • 社会保険料・住宅ローン控除の有無

  • 他の所得控除の状況


年収別・家族構成別の限度額の目安一覧(2025年版)

年収(税込) 独身または共働き 夫婦のみ(専業主婦) 夫婦+子1人(高校生)
300万円 約28,000円 約19,000円 約14,000円
400万円 約42,000円 約34,000円 約29,000円
500万円 約61,000円 約49,000円 約44,000円
600万円 約77,000円 約63,000円 約57,000円
700万円 約108,000円 約86,000円 約81,000円
800万円 約123,000円 約104,000円 約98,000円

※目安です。正確な金額は「ふるさと納税サイトのシミュレーター」で試算を。


ワンストップ特例制度の具体的な流れ

項目 内容
対象者 確定申告が不要な給与所得者
提出書類 ワンストップ特例申請書(寄附先ごとに提出)
提出期限 寄附を行った翌年の1月10日まで
適用される控除額 所得税控除はなく、住民税から全額控除

ポイント:5自治体以内での寄附に限り、確定申告不要で控除が受けられる!


返礼品の選び方で税制効果+αを得よう

ふるさと納税の魅力は「節税+地域支援+返礼品」の3拍子が揃っていること。

【人気返礼品ジャンル】

  • お米・肉・魚などの「日常食品」

  • トイレットペーパー・洗剤などの「日用品」

  • 地方の伝統工芸品

  • 宿泊券や体験型ギフト券

「税金を前払いしながら、実質2,000円で返礼品がもらえる」と考えると、非常にお得です。

ふるさと納税で節税するための具体的な手順と注意点

ステップ①:限度額を把握する(シミュレーターの活用)

まずは自身の給与明細や源泉徴収票をもとに、ふるさと納税サイトの限度額シミュレーターで「自己負担2,000円で済む上限額」を確認しましょう。

【おすすめサイト】

  • ふるさとチョイス

  • 楽天ふるさと納税

  • さとふる

  • ふるなび

いずれも年収・家族構成・控除情報を入れるだけで簡単にシミュレーションできます。


ステップ②:寄附する自治体と返礼品を選ぶ

上限額を確認したら、寄附先を選びましょう。以下の基準で選ぶと失敗しにくいです。

自治体選びのポイント

  • 応援したい地域や災害復興支援先

  • 返礼品の内容・配送時期・レビュー

  • できれば5自治体以内にとどめる(※ワンストップ特例を使う場合)


ステップ③:ワンストップ特例制度の申請

会社員がふるさと納税を最も手軽に活用するなら「ワンストップ特例制度」の利用が便利です。

利用条件と注意点

項目 内容
寄附先自治体数 年間5自治体まで(回数は何回でもOK)
提出期限 翌年1月10日(消印有効)までに必着
提出書類 各自治体から届く「ワンストップ申請書」
提出方法 郵送(返送封筒付きが多い)

※確定申告を行う場合は、ワンストップ特例は使えず「ふるさと納税分を含めて申告」する必要があります。


ステップ④:受領証明書や返礼品の管理を忘れずに

確定申告をする人は、受領証明書や返礼品の明細を整理しておくとスムーズです。

  • 郵送される受領証明書をまとめて保管

  • 返礼品の内容・数量を控えておく(実質2,000円を超える価値になっていないかの確認も)


よくある誤解と落とし穴

誤解・落とし穴 解説
20万円以下だから確定申告不要 ふるさと納税を含めた他の控除がある場合、確定申告が必要なことも
寄附だけして申請し忘れた ワンストップ申請を出し忘れると控除されません
返礼品目当てで寄附先を選びすぎる 寄附金控除の対象外になる恐れあり(過度な換金性や市場価値)

まとめ|会社員でもふるさと納税は立派な節税策!

ふるさと納税は、会社員にとって数少ない「合法的に使える節税方法」です。
しかも手間は少なく、自己負担は実質2,000円。さらに、返礼品という実利も得られます。

税金対策の第一歩として、ぜひ毎年の活用を習慣化しましょう。

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